自給自足と創作活動がある暮らしを。|佐藤晴香

インタビュー

群馬県藤岡市旧鬼石町在住。
群馬県神流町へ緑のふるさと協力隊と観光案内所の職員として
7年携わったのち、3年前現在の鬼石町に移住。

行動・発言・決断する力を失っていた自分

 来年の4月で千葉から群馬に移住して早10年が経ちます。
 群馬に移住する前は、千葉で家族と一緒に住みながら、フリーターとして過ごしていました。
女の子だからということもあったのか、特に就職しなさいなどと急かされることもありませんでした。
 しかし、その環境がすごく幸せだと感じつつも、同時に自分で行動・発言・決断する力を失っていることに気づきました。

消費するだけの生活を変えたい

 群馬県神流町に来るきっかけとなったのは、実家に置いてあった本に記載されていた「緑のふるさと協力隊」という制度です。
 緑のふるさと協力隊は、過疎化が進んでいる農山村で1年間ボランティアや農作業を手伝うプログラムです。
欲しいものはすぐに買えてしまう環境や物欲を常に刺激されて、消費するだけの生活を変えたい、自然のサイクルの中で生活をしたいと思い、参加を決めました。

協力隊の1年間がすごく楽しかった

 協力隊としての1年間が終わり、協力隊の活動の中で沢山の方と関わり見えてきたのは、神流町は誰が何の車に乗っているかわかるくらい町全体が家族のようなコミュニティでした。
 千葉に戻ることもできましたが、何の取り柄もない自分を受け入れてくれた町の人に恩返しがしたいと思い、残ることを決めました。
 残ることを決めてから6年間、神流町の観光案内所の臨時職員として努めた後、隣町の鬼石町に引っ越しました。

自給自足と創作活動がある暮らしを。

 鬼石町に引っ越してからは、「自給自足的な生活をしつつ、自分が好きな創作活動もしたい」と常に思いながらも、「いつか、いつか」と後回しにしてきた自分ともう一度向き合い、生活を成り立たせないといけないという恐れから、無理矢理時間を割いて働くのはやめようと決意しました。
 今は鬼石町産のゆず使ったジュースの制作販売をしたり、鬼石町の鬼にちなんだキャラクターや商品「つのつの」を制作をしています。
 自分で創作したものや世界観が仕事になり、創作することが生活のベースなっていくように活動していきたいと思います。

こだまの「ひとりごと」

 今回のインタビューを通して、一個人としてとても勇気をもらいました。
私自身、生まれてから大学を卒業するまで東京で過ごし、新卒で企業へ就職したものの自分の生活リズムに疑問を抱いていました。
しかし、自分の身近にいる大人の方々は会社勤めの人が多く、自分が会社勤めしている以外の未来を具体的にイメージすることができないために、「会社に勤めることに違和感を感じている自分は今後どのように過ごしていくのだろうか」と先が全く見えない不安を抱えていました。

佐藤さんにお話しを伺い、佐藤さんの協力隊になるまでのエピソードは特に、時間がどんどんすぎていくことへの根拠のない焦りを感じていた私にとって「このような歩み方もある」という一つのロールモデルになり、素直な自分の気持ちを向き合うきっかけになりました。

また、生活を成り立たせることや社会からの目などを気にするあまり、自分を見失ったり、気づかないふりをしたりしながら過ごすことが少なくない中で、佐藤さんの『生活を成り立たせないといけないという恐れから、無理矢理時間を割いて働くのはやめようと決意しました。』という部分がとても刺さりました。

佐藤さんの作品や音楽活動も含めてこれからの活躍を楽しみにしています。
インタビューを受けてくださりありがとうございました!